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車椅子を使わなくなった場合の処分方法には、捨てる・売る・譲るといったものがあります。
体に不自由な箇所がある方の暮らしをサポートする車椅子ですが、新品で購入するとかなり高価です。
高齢化も相まって中古需要は増加傾向にあり、中古の車椅子も意外な高値で売れることがあるため、捨てる前に一度は売る方法を検討するとよいでしょう。
また車椅子は寄付できる製品でもあるので、国内外の車椅子を必要としている人に譲ることで、あたたかな気持ちの輪を広げることも可能です。
そこでこの記事では、いらなくなった車椅子の処分方法を徹底解説します。
故障があるため車椅子をすぐに捨てたい方、お得に処分したい方、車椅子の譲渡先を探している方まで、広くご活用いただける内容です。
なおこの記事では、電動もしくは手動で使用する自走式の車椅子について解説していますがセニアカー(シニアカー)の処分方法については、以下の記事をご参照ください。
この記事でわかること
- 車椅子の処分方法
- 自治体別の粗大ごみ処分手数料
- 売却・譲渡して処分する方法
- 車椅子の処分時に注意する点
車椅子の処分方法9選
車椅子の処分方法には、次のようなものがあります。
- 粗大ゴミとして捨てる
- 適正処理困難物の回収業者に依頼する
- 不用品回収業者に回収依頼する
- 福祉・介護用品の買取専門店に買取依頼する
- リサイクルショップに買取依頼する
- フリマアプリやネットオークションで売る
- 不用品の掲示板サイトで欲しい人を探す
- 友人や知人に譲る
- 寄付・寄贈する
なお車椅子には、次の2種類があります。
車椅子の種類 | 特徴 |
---|---|
自走式車椅子 | ・自分もしくは介助者が押して使用する ・後輪が大きく、自分でこぐためのタイヤ(ハンドリム)が付いている ・介助者用のブレーキが搭載されていることもある |
電動車椅子 | ・電気の力で動く・道路交通法上は歩行者の扱い ・手元のレバーなどで操作する ・サイズやスピードに設計上の制限がある |
売却や譲渡の場合は、自走式・電動いずれの車椅子でも対応可能です。
ただし粗大ゴミとして捨てる場合は、捨て方が異なるケースがあるようで、自治体ごとの個別の基準をあらかじめ確認する必要があります。
粗大ゴミとして捨てる
ほとんどの自治体で、車椅子は粗大ゴミとして捨てられます。
ただし自分で操作するタイプの自走式と、バッテリーを搭載した電動式では、捨て方が異なる場合があります。
また処分にかかる費用が違うケースもあるので、ご注意ください。
以下は、粗大ゴミとして車椅子を捨てる際にかかる費用の事例です。
自治体名 | 処分費用 | 注意点 |
---|---|---|
さいたま市 | 550円 | ・電動車椅子は市で収集・処理できない ・適正処理困難物の許可業者に依頼 ・業者は市で紹介可能 |
世田谷区 | 800円 | |
横浜市 | 200円 | 電動車椅子の場合 バッテリーは外して別途処分 |
大阪市 | 幅・奥行・高さの合計が 1.5m未満のもの 200円 1.5m以上2m未満のもの 400円 2m以上2.5m未満のもの 700円 2.5m以上のもの 1,000円 | ─ |
京都市 | 800円 | ─ |
なお電動車椅子の回収に対応している自治体であっても、バッテリーの回収はしないのが基本です。
電動車椅子に使用するバッテリーには有害な物質が含まれており、自治体のゴミと一緒に捨てると事故につながる可能性があります。
電動車椅子のバッテリーを捨てる際は、車椅子から取り外し、適切に処分しなければなりません。
詳細は後述しますのでご参照ください。
適正処理困難物の回収業者に依頼する
自治体によっては、大型の自走式の車椅子や電動車椅子を適正処理困難物としていることがあります。
適正処理困難物とは、自治体の関連施設では回収処分できないゴミのことです。
車椅子が適正処理困難物に該当する自治体にお住まいの場合、粗大ゴミとして回収できないため、適正処理困難物の回収に対応した業者、もしくは不用品回収業者に回収依頼する必要があります。
なお、適正処理困難物を含む家庭から排出されるゴミの回収・運搬のためには、一般廃棄物の回収と運搬の許可を、都道府県から得ていなければなりません。
適正処理困難物の回収に必要な資格を取得している業者は、自治体の公式サイトなどで探すことができます。
無許可の業者に依頼すると、料金トラブルなどに巻き込まれる可能性があるので、十分ご注意ください。
不用品回収業者に買取依頼する
車椅子だけを捨てるのであれば、粗大ゴミとして処分するのが手軽な方法でしょう。
しかし介護用ベッドやその他の介護用品など、ほかにも処分したい不用品がある場合は、不用品回収業者に依頼すると便利です。
不用品回収業者に依頼すれば、逐一ゴミを分別する手間がかかりません。
電動車椅子のバッテリーも、装着したまま捨てられますし、不用品の搬出もすべて業者が対応してくれるので、重いものをゴミ集積所まで運ぶこともなく便利です。
また不用品回収業者によっては、買取に対応していることもあります。
車椅子は、世界的な車椅子の需要の増加が報告されているうえ高齢化の進む日本ではその傾向が顕著な製品です。
意外な高値で買取されることもあります。
いらなくなった車椅子に値段がつけば、不用品の処分費用が相殺できるため、リーズナブルに不用品の回収処分を依頼できます。
バッテリーを分別処分したり、リサイクルショップなどに買取見積もりを依頼したりといった作業は、手間も時間もかかります。
不用品回収業者は、車椅子だけでも回収処分を依頼することが可能なので、急ぎ車椅子を処分したい場合は、不用品回収業者の利用を検討するとよいでしょう。
なお適正処理困難物の回収に対応した業者では、古物商の許可を取得しておらず買取対応ができないことがあります。
不用品の買取も含めて回収処分を依頼したい場合は、不用品回収業者にご依頼されることをおすすめします。
ただし不用品回収の需要の高まりを受けて、悪質な業者が紛れていることもありますので、不用品回収業者に依頼する際は、以下の記事を参考のうえお問い合わせされてください。
福祉・介護用品の買取専門店に買取依頼する
車椅子を売る場合は、まず福祉・介護用品の買取専門店に見積もりを依頼してください。
中古の車椅子を販売するルートを持っている福祉・介護用品の買取専門店なら高く買取される可能性があります。
自走式・電動、いずれの車椅子も買取依頼が可能です。
福祉・介護用品の買取専門店での車椅子の買取実績には、次のようなものがあります。
製品詳細 | 買取価格 |
---|---|
松永製作所/ネクストコア・ 自走式車椅子・アルミ製背折れ式軽量タイプ | 16,000円 |
カワムラサイクル・ 介助用車椅子・ティルトリクライニング仕様・背折れ | 33,000円 |
Foldawheel・電動車椅子 | 90,000円 |
福祉・介護用品の買取専門店で高く買取される車椅子には、故障や傷等がないことに加えて、次のような特徴があります。
- 電動車椅子全般
- 軽量タイプの自走式車椅子
- 人気の高いメーカーの車椅子
実際の車椅子の消耗度合いや傷などの状態によって、買取価格は変動しますが、まずは買取見積もりを依頼して売却するか否かをご検討ください。
リサイクルショップに買取依頼する
リサイクルショップで、車椅子の買取に対応していることがあります。
車椅子の買取を実施するほとんどのリサイクルショップで、自走型・電動のいずれの車椅子でも買取が可能です。
ただリサイクルショップの取扱商品のジャンルは多岐に渡り、それぞれに買取に強い分野と弱い分野があります。
福祉・介護用品の買取に強いリサイクルショップではない場合、買取できない、また高値がつきにくいことがあるため、ご注意ください。
リサイクルショップでの車椅子の買取相場は、以下の通りです。
車椅子のメーカー | 上限買取価格 | 平均買取価格 |
---|---|---|
ヤマハ | 60,000円 | 15,000円 |
MIKI | 31,000円 | 2,000円 |
松永 | 37,000円 | 4,500円 |
カドクラ | 8,000円 | 1,000円 |
自走式車椅子か電動の車椅子か、また故障や傷の有無といった条件によって、買取価格は変動しますので、リサイクルショップに買取を依頼する場合は複数社に見積もりを依頼して、比較検討してください。
フリマアプリやネットオークションで売る
車椅子の買取専門店やリサイクルショップでは思うような買値がつかない場合は、フリマアプリやネットオークションに出品するのもよいでしょう。
フリマアプリやネットオークションの場合、出品に手間がかかるほか、出品してもすぐに購入希望者が現れるとは限らない弱点はあります。
しかし自分の希望価格で売却できるのはメリットです。
業者に買取依頼するより高価に売却できる可能性も十分にあります。
フリマアプリでの取引事例には、次のようなものがあります。
商品詳細 | 取引価格(税込) |
---|---|
ヤマハ・電動車椅子バッテリー | 12,000円(送料込み) |
カワムラ・カワムラBMの純正クッション付き | 16,500円(送料込み) |
ミキ・専用クッション付き | 20,000円(送料込み) |
ラックヘルスケア・折り畳み可能 | 24,800円(送料着払い) |
松永・マイチルト・コンパクト-3D MH-CR3D | 72,900円(送料込み) |
フリマアプリやネットオークションであれば、電動車椅子のバッテリーのみといったように、備品だけを出品することも可能です。
ただ車椅子はサイズが大きいため、送料がかかります。
金額設定する際は、送料を捻出しても損のない価格を設定するほか、着払いや直接引き渡しといった方法を検討するのもよいでしょう。
またフリマアプリやネットオークションは個人間の取引であるため、軽微な見落としやミスがトラブルにつながることがあります。
トラブルを未然に防ぐために、商品の詳細を細かく記載するよう、ご注意ください。
不用品の掲示板サイトで欲しい人を探す
地元のエリアに限定して車椅子が欲しい人を探すなら、ジモティなどの掲示板サイトを利用する方法があります。
例えばジモティでは、有料もしくは無料で、車椅子が欲しい人を探すことが可能です。
「中古・車椅子・あげます」のキーワードで出品すれば、車椅子を譲って欲しいと思っている人を簡単に見つけられるでしょう。
直接引き渡しもできるため、梱包や発送の手間がかからないのもメリットといえます。
ただフリマアプリやネットオークションと同様に、個人間の取引であること、また居住エリアを限定していることから、個人に関する情報が相手に知られる可能性があります。
トラブルに発展しないよう、交渉が成立するまでは個人を特定できるような情報を開示しないよう、配慮が必要です。
友人や知人に譲る
いらなくなった車椅子で故障や破損がない場合は、友人や知人に譲るのもよいでしょう。
例えば、子供用車椅子は、同じように車椅子を使っているお子さんがいるご家庭に譲れば、喜ばれます。
子供はあっという間に成長するため、すぐに小さくなります。子供用車椅子は使用する期間も短いため、状態がよい車椅子を譲ることが容易です。
また介護の必要な高齢者がいる家庭でも、車椅子は喜ばれることがあります。今は車椅子を使っていなくても、あれば便利なので欲しいと思っているかもしれません。
処分を急がない場合は、車椅子を使われている方のコミュニティーに参加したり、日頃から譲りたい車椅子があることを周知しながら、欲しい人が現れるのを待つのがおすすめです。
9.寄付・寄贈する
使わなくなった車椅子は、NPOやNGO、公益財団法人、医療福祉施設などに寄付・寄贈できます。
不用品を処分して、移動の不自由さに悩む誰かをサポートできる、社会的な貢献度が高い処分方法です。
例えば公益財団法人日本社会福祉弘済会が展開するボランティア活動「空飛ぶ車いす」が、広く注目されています。
「空飛ぶ車いす」とは、いらなくなった車椅子の寄付を募り、整備・再生させたのちに、車椅子の不足に悩むアジア諸国の子供達や高齢者に届けるボランティアリレーです。
画像引用元:空飛ぶ車いすとは?
「空飛ぶ車いす」の活動には、国内最大手の航空会社であるANA(全日本空輸)や日本の工業高校生などが参加しています。
現在は個人から「空飛ぶ車いす」で整備する車椅子の寄付や寄贈は、受け付けていません。
しかし各種団体に車椅子を寄付することでできる、思いやりのリレーがあります。
寄付・寄贈の際の送料は自己負担になるのは懸念点ではあるでしょう。
ただ車椅子がないことで不自由を強いられている国内外の誰かのためになる寄付や寄贈という方法も、処分方法のひとつとして、ぜひご検討ください。
電動車椅子は処分前にバッテリーを必ず外す
電動車椅子のバッテリーは販売店や専門の処理業者が回収しなければならないと定められています。
自治体では回収できないので、粗大ゴミとして捨てる際は、バッテリーを外し忘れないようご注意ください。
なお電動車椅子のバッテリーの回収やリサイクルをおこなう一般社団法人JBRCという団体の公式サイトで、バッテリーの回収ができる加盟店や拠点を調べられます。
電動車椅子に使用されるニッケル水素バッテリーやリチウムイオンバッテリーは、衝撃や熱を受けると激しく反応して爆発します。
誤って粗大ゴミと一緒に捨てると、爆破事故や火災につながり、人命にかかわる可能性もあるため、十分ご注意ください。
まとめ
車椅子の処分方法には、捨てる・売る・譲るの3つがありますが、まずは売るもしくは譲る方法を検討するのがおすすめです。
車椅子のニーズは今後も拡大することが予測されています。高く買い取られる可能性が高いほか、社会貢献という観点でも価値があります。
ただし捨てる場合は、少し手間がかかるのでご注意ください。
まず自走式か電動かによって処分方法が異なる自治体があります。また粗大ゴミとして捨てられる場合も、電動車椅子のバッテリーは必ず外し、適切に処分しなければなりません。
手間なく車椅子を捨てたい場合、またほかにも処分したい不用品がある場合は、不用品回収業者に依頼することを検討するのがおすすめです。
買取にも対応している不用品回収業者に依頼すれば車椅子に値段がつき、不用品の処分費用が安くなる可能性があります。
ただほとんどの方にとって、不用品回収業者の利用は初めてではないでしょうか。
どうやって不用品回収業者を探せばよいのか、迷うこともあるでしょう。
不用品回収業者を探す際は、ぜひ「不用品回収モール」をご利用ください!
不用品回収モールは、利用者の口コミや自分が希望する条件を元に、簡単に不用品回収業者を比較・検討することができるので、業者を探す手間も時間も節約できます。
不用品回収モールには、当サイトのコンセプト(ぼったくりなどの被害を防ぎたい)に賛同いただいている企業様を掲載しております。
ぜひ当サイトに掲載されている企業/回収業者様を一度ご検討いただき、もし何かご不満などがございましたら、当サイトへ口コミをお寄せください。