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「親がすぐに家を汚してしまう!」「すぐに不要なものを買ってくる」とお悩みではないでしょうか。また、ため込み症の影響で自宅が汚れてしまっているのではないか、と気になっている方もいるでしょう。
そこでこの記事では、誰もが発症してしまう「ため込み症」についてわかりやすく解説しています。
この記事でわかること
- ため込み症とは?
- ため込み症のチェックリスト
- 親がため込み症を発症する原因
- 親のため込み症を放置するリスク
- 親のため込み症の治し方・克服方法
家族のお家トラブルを解決したいとお悩みの方は、ぜひ活用してみてください。
ため込み症の特徴とは?どんな病気?
ためこみ症とは、物の価値を問わず捨てること・手放すことに極度な抵抗感を覚え、自宅に物をため込んでしまう病気のことです。別名をホーディング症と言い、世の中が豊かになったことにより発症する人が増えたとされています。
社会が豊かになり,個々人が多くのモノを所有するようになるにつれ,“所有物を有効活用できない”,あるいは“片づけられない”,“捨てられない”といった,モノがもたらす新たな弊害が,社会的にも学術的にも注目されはじめた。それが過剰なモノのため込み行為,すなわち「ホーディング」である。
廃棄物資源循環学会誌「モノをため込む心理:誰が,何を,なぜため込むのか?」
まずは、ため込み症の特徴や病気の概要をわかりやすく解説します。なぜため込み症を発症するのか、ぜひ参考にしてみてください。
強迫性障害を伴う脳とこころの病気
ため込み症は、一種の精神疾患だと言われています。主に何度も同じことを考える、また同じことを繰り返す「強迫性障害」の影響を伴っており、病的なほど、次の感情を持っているのが特徴です。
- 物を捨てたくない
- もったいない
- なぜ捨てるのか理解できない
誰もがゴミだと思う物でも、本人にとっては必要な物だと感じてしまいます。その結果、自宅に物が増え、ゴミ屋敷・汚部屋といったトラブルに発展してしまうのです。
ゴミや不要なものを収集する
ため込み症を発症している人の多くは、次々と不要なものを自宅に集めて物を増やすのが特徴です。参考として、ゴミや不用品を集めるパターンを以下にまとめました。
- 普段の買い物で同じものを購入する
- ゴミ捨て場から物を見つけて持ち帰る
- 落ちているものを集めて持ち帰ってくる
通常の買い物であれば、特段大きな問題に発展することはありません。しかし、物を購入しすぎた結果、金銭的な余裕がなくなり万引きしてしまう人もいます。
単純にゴミや不用品を集めてゴミ屋敷化するだけでなく、犯罪行為を繰り返すケースもあるため、早急な解決が必要な病気だと覚えておきましょう。
家がゴミ屋敷化しやすい
親がため込み症を発症している際に注意しなければならないのが、自宅のゴミ屋敷化・汚部屋化です。
目を離すとすぐにゴミや不用品を集めてくるため、あっという間に家が散らかってしまいます。また、捨てようとすると抵抗されたり、口論になったりと、家族間の問題がよく起こるのも特徴です。
中でも、別居しながら生活している親がいる場合、知らぬ間にゴミ屋敷化しているケースがよくあります。ため込み症は加齢とともに悪化しやすい病気ですので、病気の疑いのある親がいるのなら、定期的に住宅の状況を確認することが重要です。
ため込み症のチェックリスト
「親がため込み症かもしれない」と不安を感じている方向けに、ため込み症の方がよくする行動・特徴をチェックリストとしてまとめました。
チェックリストにあてはまる項目が多い親ほど、ため込み症を発症している恐れがあります。今後の対応のために、ぜひチェックしてみてください。
- 物を捨てる(捨てられる)のを嫌がる
- 他人の物は捨てられるが、自分の物は捨てられない
- 荷物が部屋を占領していて使えない
- キッチン掃除が苦手である
- 価値に関係なく物を所有していたい
- 積み上げた荷物がよく崩れ落ちてくる
- 出したものを片付けられない
- ため込みについて何か言われるとすぐに怒る
- 社会生活を送るのが面倒くさく引きこもりがちである
- ため込みが原因で近所トラブルが起きている
ひとつでもあてはまる項目があるのなら、後述するため込み症の克服方法をチェックしてみてください。
親がため込み症を発症する3つの原因
親がため込み症を発症することには、内的・外的な原因があると言われています。
参考として、ため込み症を発症する原因を3つまとめました。なぜ親がため込み症を発症してしまうのか、詳しい理由を見ていきましょう。
性格の影響
親のため込み症には、もともとの性格が影響する場合があると言われています。参考として、ため込み症を発症しやすい性格の人の特徴を以下に整理しました。
- 面倒ごとをよく後回しにしている
- 計画的に物事を進めるのが苦手である
- 注意力が散漫になりやすい
- 人の話を最後まで聞かない
自分のこと・考えを優先してしまう性格の人、そして論理的な計画を立てるのが苦手で効率よく動けない人などは、ため込み症を発症する恐れがあります。
後述する2つの外的原因が組み合わさると、さらに発症する可能性が高まりやすいので注意してください。
職場や日常的なストレス
親のため込み症は、職場や日常的な生活で受けるストレスの影響があると言われています。例えば、次のようなシーンで過度なストレスを受けると、その反動でため込み症を発症するのがひとつの特徴です。
- 仕事自体に苦手意識がある
- 職場でのコミュニケーションに辛さを感じている
- 家族との関係がうまくいっていない
- 世の中に対して何かしらの不満を抱えている
ストレスの原因はいくつもありますが、過度なストレスが長期的に続くと、うつ病等の精神疾患を発症し、次第に片付けができなくなります。
また、ストレス発散として収集する癖が身につき、ため込み症を発症してしまうのです。
周囲からの影響
親のため込み症は、これまでの生活の中で、周囲の影響を受けて芽生えた問題かもしれません。
例えば、親の親(祖父母)がため込み症を発症していた場合や、仲の良い友人がため込み症の場合には、その影響を受けてため込み症を発症するケースがあります。また、ため込み症とまではいかずとも、生活面でだらしない人やゴミ屋敷を作っている人の影響を受けることもあるでしょう。
家族自体もため込み症が日常であるため、その生活に慣れ、問題に気付きにくいのがネックです。
また、ゴミ屋敷をつくり出すのはため込み症を発症した親だけではありません。ゴミ屋敷になる人の特徴を詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
親のため込み症を放置するリスク
親のため込み症を「特に問題ないだろう」「自分でどうにかするだろう」と放置すると、さまざまなリスクが発生します。
問題化しやすい項目を詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
においリスク
親がため込み症を発症すると、次第に家がゴミ屋敷化して「におい問題」が起きることに注意しなければなりません。
例えば、どこから持ってきたかわからない荷物から異臭が生じたり、生活ゴミを捨てることができず腐敗したりと、異臭の発生につながる要因はいくつもあります。
におい問題は自宅だけでなく、周辺家屋にも広がるため近隣トラブルの原因になりやすいのが特徴です。またゴミ屋敷に住む住人(親・家族)の精神疾患の悪化にもつながるため、十分に注意してください。
害虫繁殖リスク
親のため込み症を放置すると、屋内で害虫が繁殖し、家自体が虫のすみかになる恐れがあります。
例えば、家のいたるところで害虫を見かけたり、荷物の隙間から害虫が飛び出してきたりと、恐怖があるだけでなく衛生面でも大問題です。また、屋内の食べ物を食い荒らされるケースも多いことから、病気リスクにも気を付けなければなりません。
さらには、自宅で繁殖した害虫が、周辺家屋へ移動する場合があります。ため込み症の家を中心に害虫被害が起きる恐れがあるため、早急にため込み症の改善が必要です。
ゴミによるケガのリスク
親のため込み症を放置してゴミ屋敷化が進むと、物が山積みになっていきます。大量のゴミが不安定な状態で積まれているため、少しの衝撃でなだれが起きるかもしれません。
また、床に散らばったゴミを踏んでしまい、ケガをするリスクもあります。不衛生な環境でケガをするとキズに細菌が入り込み発症する「破傷風」に発展する恐れがあるため、十分に注意してください。
火災リスク
親のため込み症が重症化すると、自宅に次のような危険物を持ち込んでしまうかもしれません。
- 薬剤
- ガスボンベ
- 発火性のある品(ライターなど)
危険物に衝撃が加わったり、薬剤がこぼれたりした結果、出火するケースも予測できます。ゴミ屋敷化した家には大量に物があるため、火はすぐに燃え広がり、建物全体に広がるかもしれません。
火災発生は賠償責任等につながるケースもあるので、火災リスクを避けるためにも定期的な清掃が必要です。
親のため込み症の治し方・克服方法
「今すぐ親のため込み症を解決したい」と考えている人向けに、3つの治し方・克服方法をまとめました。
結論として、親のため込み症は無理やり治すことはできません。信頼関係を築き、徐々に解決していく必要があるため、紹介する順番に話を進めてみてください。
ため込み症のリスクを本人に知ってもらう
まず重要なのが、ため込み症を発症している親に、ため込み症を原因として起こるリスクを知ってもらうことです。
本人の病気が原因でどういった被害が起こるのか、家族以外の人たちにも迷惑をかけてしまうのかを伝えましょう。また、リスクを伝える際には、攻めるような言い方をせず、オブラートに包んで伝えることが重要です。
攻めるような言い方をすると、抵抗されたり、話を聞いてもらえなくなったりと、次のステップに進めなくなるため注意してください。
物から離れさせる訓練を実施する
親がリスクについて理解し、徐々に「解決したい」という話が出るようになったら、物から離れて暮らす訓練を実施しましょう。参考としてすぐに始められる訓練をまとめました。
- 1日にひとつ物を捨てさせる
- 1部屋をキレイ掃除し、1日その部屋で暮らしてもらう
- 1日だけ親の家から離れてもらい、綺麗な家での生活を体験してもらう
ただ何事も、無理やり進めるのはよくありません。もし物を捨てさせる訓練を始めた際に、親から「できない」と言われたのなら、捨てないという条件のもと「袋に不要なものを入れていく」といった簡単な練習から始めてみてはいかがでしょうか。
物を捨てる、拾ってこないという環境に慣れてもらうことが大切ですので、時間をかけてゆっくりと訓練をレベルアップしていきましょう。
心療内科へ相談する
前述した2つの治し方・克服方法を実践してみたけれど「効果がなかった」「そもそも話を聞いてもらえない」とお悩みなら、心の病気を相談できる心療内科を利用するのがおすすめです。
心療内科では、親のため込み症を含め、さまざまな精神疾患のことを相談できます。精神的な問題を熟知するプロに任せることによって、最適な改善方法を提案してもらえるでしょう。
また、病院へ行くことに抵抗があるとお悩みなら、オンラインカウンセリングを利用してみるのもひとつの方法です。自宅にいながらカウンセラーと話し合いができるため、病院へ向かうよりもハードルを下げられます。
親のため込み症克服のために不用品回収を検討しよう
親がため込み症を改善したいと言っているのなら、大量のゴミを処分するために不用品回収業者を利用してみるのがおすすめです。
不用品回収業者は、生活の中で不要となった品のほか、自宅に溜まったゴミの回収に対応してくれます。経験豊富な清掃員が何トンものゴミをまとめて回収してくれるので、最短即日で自宅の不要なゴミをキレイに片付けられるのが魅力です。
ただ、どの不用品回収業者に相談してよいのかわからないと悩む方も多いでしょう。それなら、厳格な審査をクリアした信頼性の高い業者のみを紹介している「不用品回収モール」を利用してみるのはいかがでしょうか。優良業者だけに相談できるため、高品質なサポートを受けられるのはもちろん、ぼったくりを防止できます。
また、不用品回収の費用や優良業者の選び方を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。依頼時の注意点も含めてお金のことを詳しく解説しています。
まとめ
親のため込み症は、内的・外的な要因によって発症する「誰にでも起こりうる問題」だと言えます。また、親のため込み症を放置すると、自宅がゴミ屋敷化・汚部屋化して、家族や周辺住民をトラブルに巻き込んでしまうのがネックです。
ため込み症のリスクを改善したいのなら、家族の協力のもと時間をかけた訓練を実施するか、心療内科・オンラインカウンセリングを利用するのが良いでしょう。
自宅のゴミを不用品回収業者に片付けてもらうのもひとつの方法ですので、ぜひ親の病気と向き合いながら問題解決を目指してみてください。