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「私有地に不法投棄されたゴミってどうしたらいいの?」「誰に処分の責任があるの?」とお悩みではないでしょうか。中には、自分の土地にゴミを捨てられてお困りの方もいるでしょう。
そこでこの記事では、私有地に不法投棄されたゴミの取り扱いについてわかりやすく解説しています。
この記事でわかること
- 不法投棄とは何か
- 不法投棄された場合の相談先
- 不法投棄した犯人が見つからない場合の責任
- 不法投棄されやすい土地の特徴
- 不法投棄の予防法
- 不法投棄対策の成功事例
- 不法投棄されたゴミの撤去・処分方法
他人が捨てたゴミにお悩みなら、ぜひ参考にしてみてください。
不法投棄とは?
不法投棄とは、自身が処分すべきゴミを許可なく次のような場所に捨てる違法行為です。
- 山林
- 原野
- 空き地
- 海岸
- 河川敷
また不法投棄は、環境省が定める「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で違法行為として記されています。
(投棄禁止)
第十六条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
引用元:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
許可なくゴミを捨てることはもちろん、人体や環境へ悪影響のある廃棄物・有害物質の処分もすべて禁止されています。
政令で定められている条件を無視し、保管・収集・運搬・処分することが禁止されている品もあるため、不法投棄やそれに関わる行為は絶対に実施しないように気を付けなければなりません。
不法投棄には罰則・罰金あり
不法投棄を行った場合、廃棄物処理法に基づき以下の罰則が適用されます。
個人が不法投棄を行った場合 | 最大5年の懲役または最大1,000万円の罰金、あるいはその両方が科されます。 | 第25条第1項第14号 |
法人が不法投棄を行った場合 | 最大3億円の罰金が科せられます。 | 第32条第1号 |
個人事業主の従業者が不法投棄を行った場合 | 事業主も最大1,000万円の罰金の対象となります。 | 第32条第1号 |
廃棄物の不法投棄目的で収集・運搬を行った場合 | ・最大3年の懲役または最大300万円の罰金、あるいはその両方に処せられます。 ・この場合も法人に対して最大300万円の罰金が適用されることがあります。 | 第26条第6号 第32条第2号 |
以上より不法投棄した人は、それがいかなる理由であろうとも、長期的かつ高額な罰を受ける必要があります。法人の場合は億を超える罰金の支払いがあるため、必ず避けるべき行為だと法律から読み取れるでしょう。
自分の土地に不法投棄された場合の相談先
「自分の土地(私有地)にゴミや大型の荷物を不法投棄された!」とわかった際には、まず以下の団体に連絡してください。
- 警察署
- 自治体
連絡が必要な理由は、不法投棄された品の中に、危険物や違法品が混じっている場合があるからです。
素人が片付けようとすると、危険物のせいでケガや病気を発症するかもしれません。また、違法品を手に入れてしまった結果、犯罪に巻き込まれる恐れもあります。
警察署や自治体は、適切な方法で不法投棄されたゴミ・荷物を確認してくれるため、安全確認が終わるまでは、不法投棄された品に触れないでください。
不法投棄の犯人は見つからない場合も!
不法投棄に関する法律は定めてありますが、日本ではまだ大量の不法投棄がおこなわれています。
以下のグラフより、平成初期に比べると不法投棄の割合は大きく下がりましたが、平成28年以降、不法投棄の発生率は横ばい状態に変化しました。
ちなみに令和4年における不法投棄の件数は134件です。約4.9tものゴミが投棄されています。
ゴミを捨てることで「処分にかかるお金を浮かせる」という理由から、今後も一定数の不法投棄者が出てくると予想できます。場合によっては犯人が見つからないケースもあるので、私有地を自衛することが重要です。
不法投棄されたゴミは誰が片付けるの?
現在も日本のどこかで行われている「不法投棄」によるゴミは、犯人が見つからない限り、土地所有者が処分しなければならないとご存じでしょうか。
残念ながら現在の法律や自治体の考えでは、勝手に捨てられたゴミだとしても、捨てられた土地所有者に処分責任があるということになっています。
ゴミの量によっては数万円、数十万円の処分費用がかかるケースもあるので、不法投棄をされにくい私有地作りが大切だと覚えておきましょう。
不法投棄の時効は最大5年
不法投棄の犯人を見つけたい場合、不法投棄されてから5年以内に探し出さなければなりません。なぜなら、廃棄物処分法により時効期間が5年と取り決めてあるからです。
もちろん、5年以上経過しても犯人として見つかれば逮捕できます。しかし、時効が経過しているため刑事罰を科せられません。
また、犯人は同じ場所にゴミを捨てず、土地を変えながら不法投棄するため簡単に見つからないのがネックです。犯人に処分費用を払わせようと思っても、それを実現できない場合があるので、まずは自身の土地に不法投棄されない対策を考えることが重要だと覚えておきましょう。
不法投棄されやすい土地の特徴
「自分の土地にもいずれは…」と不安を抱えている方も多いでしょう。参考として、不法投棄されやすい土地の特徴をまとめました。
人目につきにくい土地
次のように人目につきにくい土地は、悪徳業者が不法投棄の場所として狙いやすいのが特徴です。
- 山奥にある土地
- 人通りが全くない土地
- 家屋がまばらな土地
- 木々がうっそうとしている土地
例えば、街中や住宅街なら、ひと目があるので不法投棄できません。一方、人の少ない土地や周辺が荒れている土地には、人が誰もいないためゴミを捨ててもバレにくいと言えます。
道路に面した土地
人通りがない土地の中でも道路に面した土地は、不法投棄されやすいとご存じでしょうか。なぜなら、不法投棄業者は必ず粗大ゴミを運びやすい大型の輸送車(トラック・バン等)でゴミを持ち運んでいるからです。
道路沿いに面している土地の場合、輸送車からゴミを降ろすだけで不法投棄が終わります。ものの数十秒で逃げる準備が整うため、自動車で入り込みやすい土地は不法投棄対策が必要でしょう。
敷地内が荒れている土地
敷地内が雑草で荒れている場合や、普段から汚れた状態で放置している場合には、人が寄り付かず不法投棄されやすい環境ができあがっています。
例えば、キレイに整備されている土地と、汚れた土地だと、どちらのほうがゴミを捨てやすいと感じるでしょうか。おそらく多くの方が後者を選ぶはずです。
また「捨ててもバレないだろう」「すでに荒れているから」と考える人も多く、後ろめたさも少ないでしょう。ちょっとしたゴミだけだと気づけないケースもあるため、私有地が荒れているのなら改善することが重要です。
不法投棄されたゴミを放置している土地
すでに不法投棄されており、そのゴミを放置したままにしている土地は、さらに不法投棄される恐れがあります。なぜなら「もう大量のゴミがあるから大丈夫だろう」「少し増えてもバレない」と思う人が出てくるからです。
不法投棄のゴミは、新たな不法投棄を呼び込んでしまいます。早めに片付けなければ、あっという間に不法投棄のゴミでいっぱいになるため、放置せず早めに片付けましょう。
もし自分で不法投棄されたゴミを片付けられないとお悩みなら、不用品回収業者といったプロに相談するのがおすすめです。重量のあるゴミを含めてまとめて回収してもらえます。
不用品回収モールでは、優良な不用品回収業者を紹介しています。業者探しにお困りなら、ぜひサービスをチェックしてみてください。
また、自治体と民間業者のどちらに相談すべきかお悩みなら、以下の記事がおすすめです。依頼できることや費用の違いを紹介しています。
敷地内にゴミを捨てられるのを防ぐ方法
前述した土地の特徴にあてはまる方や、すでに不法投棄されて悩んでいるという方は、本項で紹介する対策を実施してみてください。
簡単な対策で、不法投棄の状況が大きく改善します。豊富な対策があるので、導入しやすいものを探してみてください。
防犯カメラを設置する
不法投棄を防ぎたいのなら「いつでも監視している」ということを伝えられる、防犯カメラを設置するのがおすすめです。
防犯カメラを24時間365日動かしておけば、不法投棄の現場を抑えられます。犯人の顔や自動車ナンバーがわかる場合もあるため、犯人逮捕および不法投棄ゴミの処分問題を解決できるでしょう。
また、カメラを起動していなくても「目」としての効果があります。誰かに見られているという環境を作り出すことによって、不法投棄されにくくなるのがポイントです。
柵やロープで侵入できないようにする
不法投棄されない環境を作りたいのなら、敷地の中に侵入できないように柵やロープを設置することをおすすめします。
不法投棄するゴミを運ぶのは人間ですので、重量物を持ち運ぶのが難しい環境を作っておけば不法投棄されずに済むでしょう。
また不法投棄される品のほとんどは、処分にお金がかかる次のようなゴミです。
- 家電(家電リサイクル法の品目)
- 大型家具
- 建築廃材
- がれき
どれも重量があり簡単に持ち上げられない品ばかりですので、ロープを何重にも張り巡らせたり、高い柵を設置したりすることで、不法投棄を回避できます。
不法投棄禁止の看板を設置する
不法投棄を防止したいのなら、次のような文言・イラストが書かれた看板を設置するのが効果的です。
- 不法投棄の罰則や罰金の情報
- 見回りを実施している情報
- 監視カメラ設置の情報やイラスト
- 目のイラスト
人間は情報を見て考える生き物ですので、少しでもリスクのある情報が書かれていれば、その場所への投棄を止めてくれます。
また、花壇の設置や子供たちが描いた絵を貼るなど「人が活動している場所」という情報を伝えることができれば、不法投棄されにくくなるでしょう。
ドローンで上空から不法投棄を監視する
近年では、ドローンを使って上空から不法投棄を監視する対策が実施されています。
例えば、時間指定でドローンを自動で飛ばして監視したり、手動で飛ばして周囲を見て回ったりと、監視の方法はさまざまです。
ドローンのカメラによっては、暗視モードや動体センサー付きの製品もあるため、昼夜を問わず私有地を監視できます。
さらにドローンを運転する際には、大きな音が聞こえるのが特徴です。近くに誰かいることを伝えられるので、複数の面から不法投棄予防の効果を期待できます。
不法投棄対策の成功事例
不法投棄の頻発化を危惧し、国内ではすでに複数の不法投棄対策が実施されています。
「一般財団法人 家電製品協会」が公開している成功事例を紹介しているので、自身で対策できる項目があるか確認してみてください。
センサーライト付き看板の設置|愛知県豊橋市
愛知県豊橋市では、動体センサーライトの付いた看板を設置して、不法投棄対策を実施しています。人が近づくと動体センサーが反応して、看板にライトを当てるというシンプルな仕組みです。
一部のエリアではソーラー充電式のライトが採用されているため、維持管理の必要がありません。設置前と比べて不法投棄量が17%削減したと報告されています。
地域おこし・美化活動の実施|沖縄県南城市
沖縄県南城市では、市内にある空地への不法投棄対策として、不法投棄の事例があるエリアで地域の町おこしを実施しています。
地区住民による無償の美化整備活動に取り組み、次のような対策で不法投棄されにくい環境を作り出しました。
- 不法投棄物の回収
- 空地の草刈り
- 花壇の設置(緑化)
市の美化が進んだ結果、実際に不法投棄の報告も減り、平成28年には国土交通大臣から感謝状が送られています。
私有地に不法投棄されたゴミの撤去・処分方法
自分の土地(私有地)の不法投棄対策を実施しても、運が悪ければ悪徳業者による不法投棄の被害に遭うかもしれません。
その際には、なるべく被害を広げないためにもすぐに警察や自治体に連絡し、片付けをすることをおすすめします。
しかし、不法投棄されたゴミの量や規模が多いほか、危険なものも混じっていて自身で片付けられないとお悩みの方もいるはずです。それなら、豊富な片付け・回収実績をもつ不用品回収業者に不法投棄ゴミの回収を相談してみるのはいかがでしょうか。
専門業者に任せれば、ゴミの片付けや清掃、処分場(受入れ施設)への持ち込みといった手間がかかりません。不用品回収モールでは、優良の不用品回収業者を紹介しているので、ぜひ相談先を探してみてください。
また、ひとりで粗大ゴミを移動できない場合の対処法を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。業者に依頼するメリットも解説しています。
まとめ:私有地に不法投棄されない為の予防が大切!
自分の土地(私有地)にゴミを不法投棄された場合、犯人が見つからなければ、土地所有者本人に処分責任が移行します。
また、不法投棄ゴミの処分は有料であり、数万円、数十万円が必要になる恐れがあるため、不法投棄されない仕組みづくりが重要です。
本記事で紹介した対策は、全国でよく実施されているものばかりです。実際に不法投棄量の減少といった効果があるため、ぜひ導入してみてください。
また、不法投棄された場合の動き方を知っておくことも重要です。自身で片付けるほかに、不用品回収業者といったプロに相談できるので、ひとりで悩まずに済むと覚えておきましょう。