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不用品回収にまつわる情報や、ゴミ屋敷の原因や対策について情報発信している不用品回収モールでは、セルフネグレクトという言葉に注目を置いています。
ゴミ屋敷化の原因とセルフネグレクトの関連性を調べるなかで、セルフネグレクトは若者世代にも起きるということが分かってきましたので、今回は「若者のセルフネグレクト」というテーマでお話ししていきたいと思います。
この記事でわかること
- セルフネグレクトの基本理解
- 若者がセルフネグレクトに陥る背景
- ゴミ屋敷はセルフネグレクトの特徴
- ゴミ屋敷の解決・対策
- セルフネグレクトの予防・改善策
セルフネグレクトの基本理解
まずはセルフネグレクトという言葉の理解を深めましょう。セルフネグレクトとは病気や病名ではなく、状態を表す言葉であることを覚えておいてください。
そして、具体的にどのような状態を指すのか、それに至る原因は何かという基本的なところを解説していきますので、さらに理解を深めていただければと思います。
セルフネグレクトの定義とは
ネグレクトとは「他人に対しての世話の放任・放棄」を指す言葉ですが、セルフネグレクトとは「自分自身に対しての世話の放任・放棄」を意味します。
例えば、身だしなみを整える、食事を摂る、部屋を清掃する、といった自身の健康を維持するための行動を怠る状態を指します。
要するに、自分自身の健康状態や生活環境などをないがしろにしてしまう行為のことです。
セルフネグレクト発症の背景と原因
セルフネグレクトは、ただの怠けではなく、心の問題や身体の問題、生活環境の問題などが原因で起こるそうです。
たとえば、悲しみやストレス、孤独感が強いと、自分のことをする気力が湧かなくなることがありますよね。一般的には気持ちを切り替えることで、元の生活に戻るものですが、セルフネグレクトはこの状態が長く続いていると考えられます。
恐ろしいことに、この問題は、年齢や性別を問わず、誰にでも起こり得るものなので、気にかけておく必要があります。
また、解決するには周りの人の支えや理解が大切であることも覚えておきましょう。
セルフネグレクトを表す典型的な状態
セルフネグレクトの典型的な状態は、自己の世話の放任・放棄ですから、慢性的に不健康な状態が続いたり、部屋が散らかってゴミ屋敷化しているといった状態がよく見られます。
自分自身を清潔に保たない、食事を摂らない、家や室内が不衛生な状態になる、医療サービスを受けない、周囲の支援を拒否するといった行動が主な要因です。
自身には世話をしない代わりに動物をたくさん飼うといった行動も見られるようです。
若者セルフネグレクトの特徴
茨城大学大学院の学生が研究した論文を参考に要約すると高齢者に見られる行動と若者の行動では少し異なるようです。
若者のセルフネグレクトには、例えば「服装や身だしなみを気にしない」「洗濯物を片付けない」「髪の毛を洗わない」といった行動に特徴があるようです。
また原因についても、ゲームのしすぎだったり、飲酒のしすぎといった健康状態を悪くする行動を取っていることが主に関係しているそうです。
さらにセルフネグレクトに該当する行動が顕著に見られる方には、失感情症(アレキシシミア)といって、自身の感情に気づいたり、表現したりするのが苦手という特徴もみられるそうです。
若者がセルフネグレクトに陥る背景
セルフネグレクトについて理解を深められたと思いますので、続いては、若者がセルフネグレクトに陥ってしまう背景について解説していきたいと思います。
セルフネグレクトと精神的要因の関係
セルフネグレクトは心の問題と深く関係しています。
若者の場合、学校や人間関係の悩みが重なりストレスを感じ続けた結果、自信喪失や気力が無くなるといった状態に陥るのでしょう。
はじめは、「大丈夫」「問題ない」と感じていても、ストレスを解消するための行動から次第に生活習慣が乱れて、不健康な生活を続けることで、身体を壊しやすくなっていきます。
さらには、不健康であることを認めつつも、生活環境を改善しようとしないので、状態が深刻化していくといった悪循環を過ごしてしまうようです。
一人暮らしや孤立状況が招く自宅環境の劣化
若者がセルフネグレクトになりやすい・増加していると言われ注目されたことには、自宅環境の変化にも関係があると言えます。
例えば、若者の場合、進学のために家族の元を離れたり、就職を期に上京したりと、実家暮らしから一人暮らしへと生活環境が変わった結果、孤立状態になります。
両親のように、すぐに変化に気付いてくれる人がいなくなることの影響は大きいのかもしれません。
周りに異常を気にしてもらえなくなり、不満や不安をうちに秘めることが続き、次第に感情表現が苦手になってしまうのでしょう。
若者の低下したストレス対処能力
また、ストレスに対する能力が乏しいことも背景のひとつと考えられます。親元を離れ、単身で生活していくと、多少なりともストレスを感じることが増えますよね。
学生時代に体育系で心身ともに鍛えた人は対処できるかもしれませんが、一般的な若者にはストレスに対処する能力が養われていないのです。
それらのストレスに圧倒され解消できないまま、生活を続けていくことで、次第に自己管理が疎かになり、セルフネグレクト状態に陥るのだと考えられます。
若者セルフネグレクトの状態は部屋に現れる
若者のセルフネグレクトの状態として、心身の健康状態が悪化することの他にも、住環境にも変化が現れます。
いわゆるゴミ屋敷の状態が、もっとも分かりやすい特徴です。
自己放任から始まり、掃除や片付けも疎かになり、次第に部屋がゴミ屋敷と化していく点を詳細に解説していきます。
ゴミ屋敷のはじまり
ゴミ屋敷のはじまりは、部屋を片付けない・掃除をしないといった些細な行動から始まります。
生活スタイルが昼夜逆転していたり、仕事に忙しく自宅の整理に手が回らないといった明確な原因が分かっている場合を除き、ゴミ屋敷化してしまう要因はセルフネグレクトと断言しても良いでしょう。
自分に無関心になると、身の回りを整理・清潔にすることを疎かにするため、部屋が汚れていきます。
加えて、残念なことに一人暮らしの場合、誰にも知られることがないので、ゴミ屋敷化が加速していきます。
劣悪な環境がセルフネグレクトの拍車をかける
不衛生な環境で生活を続ければ、いくら若者の身体と言っても、体調不良を起こしやすくなるものです。
部屋が散らかっていれば、気分も良くないので自発的に掃除をしそうなものですが、セルフネグレクトの場合、不衛生・不健康であることを認めつつも、状態を改善しようとしないのです。
部屋を散らかしたまま生活を続ければ、ほこりが溜まり室内の空気が悪くなります。生活ゴミを放置すれば虫も湧きます。そういった劣悪な環境で過ごせば、体調不良が改善することはありません。
やはり、セルフネグレクトを防ぐためには、心身の健康状態を改善する、住環境を改善することがとても重要な行動だと言えるでしょう。
ゴミ屋敷・汚部屋の解決・対策
実際にゴミ屋敷化してしまった場合、そのままではセルフネグレクトを改善することは難しいでしょう。では、ゴミ屋敷・汚部屋化してしまった場合は、どうすれば良いのか。
本人が行動できない場合は、意図的に周りが手を差し伸べる必要があります。
家族や周囲に手助けが必要な方がいる場合は、以下を参考に実際に行動してあげましょう。
まずは部屋の片付け・清掃をしよう
まずは、部屋の片付け・清掃が急務です。ゴミ屋敷の進行具合や間取りによっても、大きく変わりますが、2~3人で手分けをすれば1日で終えることができるでしょう。
部屋が綺麗に片付き、清潔な生活ができるようになるところまでがゴールです。
生活ゴミの搬出・不用品の処分
生活ゴミを溜め込んでしまうことが、ゴミ屋敷の原因でもありますので、片付け・清掃と同時にゴミを部屋の外に搬出するところまで必ず行ってください。
ゴミ袋にまとめたからOKではありません。
セルフネグレクトの場合、ゴミを出すという行為も疎かにしてしまうものです。したがって「溜め込んだ生活ゴミを、周辺のゴミ集積所やお住まいのマンションにあるゴミ置き場に持っていく」ここまでが重要なところです。
加えて、明らかに生活に不要なものは、不用品として処分を行ってあげましょう。市区町村に依頼する場合も予約や搬出まで代わりにやってあげる必要があります。
全てのゴミを捨て終えるには日をまたいで何度も行き来する必要があるかもしれませんので、早く処分するために不用品回収業者を活用するという選択肢も視野に入れておきましょう。
再発防止の対策をとろう
そして、一段落したところで、再発防止策を考えます。
まずは生活習慣の改善が必要ですから、健康的な食事と十分な睡眠を取れるよう支援をしてあげましょう。はじめのうちは定期的に部屋を訪れ、身の回りの世話をしてあげることも視野に入れてください。
状況によっては医療機関に帯同することも必要です。本人の状態に応じて適切な支援を続けてあげましょう。
セルフネグレクトの予防・改善策
セルフネグレクトを予防する・改善するには、表面的な生活環境の変化だけでは解決できません。精神的な問題も潜んでいるので、必要に応じて医療機関にかかることも重要です。
なによりも根本的な解決には、本人が自覚をして自ら生活環境を変える・維持していくことをしなければならないのです。
早期の自己認識が必要
セルフネグレクト状態にある方は、「自分は大丈夫」「問題ない」と、周囲に心配をかけないようにする言葉を発します。こういった発言をすることで、周囲を寄せ付けず余計に孤立するものです。
そのため、自身がセルフネグレクト状態であること、状態が悪化する可能性を、早期に自己認識する必要があります。
具体的な特徴を自身の生活と照らし合わせ、自身の行動を変えなければ重症化する可能性を認識しなければなりません。
生活習慣の改善が近道
自己認識が変われば行動が変わっていくでしょう。
セルフネグレクト状態の予防・改善には、生活習慣の改善がもっとも近道です。健康的な生活が続けられれば、セルフネグレクトが悪化する可能性も少なくなります。
自身で生活習慣をリセットできるのであれば、意図的に行ってください。
周囲の支援も有効である
時には周りを頼ることも必要です。そもそも一人で抱え込み解決しようとする考えこそが、セルフネグレクトの第一歩のようなものです。適度に周囲を巻き込み、必要な手助けや助言をもらいましょう。
周囲に生活スタイルに不安を覚える方がいる場合は、定期的に様子を伺うようにしましょう。「少しおせっかいかも」と感じる程度が適切かもしれません。
まとめ:若者がセルフネグレクトに陥らないためにすべきこと
セルフネグレクトは、これまで高齢者ばかり注目されていましたが、若者でも起こり得る身近な問題であることがお分かりいただけたと思います。そして、コミュニケーションの重要性も再認識できたと思います。
最後に若者がセルフネグレクトに陥らないためのポイントをまとめます。
本人 | 早期の自覚、生活環境・生活習慣の改善、周囲とのコミュニケーションを絶やさない |
周囲 | 積極的な声掛け、生活面でのサポート、コミュニケーションを絶やさない |
本人が自覚することが一番重要ではありますが、時には周りの手助けが必要になります。若いから大丈夫と決めつけず、適切な支援が必要になることも忘れないようにしましょう。