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不用品回収業者は、私たちの生活において、家庭や事務所から不要となった家具や家電などを手軽に引き取ってくれる便利なサービスを提供しています。
このサービスを利用することで、私たち自身が不用品を運ぶ手間や処分費用を節約できる一方で、違法な業者によるトラブルや詐欺に巻き込まれるリスクも存在します。
実は、不用品回収業を営むには、特定の許可証が必要とされています。
無許可の業者に依頼をしてしまうと、予期せぬリスクが発生する可能性があるため、業者を利用する際には、その有無を確認し、安全なサービスを選ぶポイントを押さえておくことが大切です。
この記事でわかること
- 不用品回収業者が必要とする許可について
- 各許可証の取得方法
- 許可をもっていない不用品回収業者に依頼した場合のリスク
- 不用品回収業者が持つ許可の確認方法
不用品回収業者に必要な許可とは
不用品回収業者が必要とする許可は、主に以下の3種類です。
- 一般廃棄物収集運搬業許可
- 産業廃棄物収集運搬業許可
- 古物商許可
これらの許可は、業者が不用品を正しく処理するために必要とされ、取得には様々な条件をクリアし、手続きを経る必要があります。
重要な点として、これらの許可は互いに代替可能なものではなく、業者は提供するサービスに応じて、適切な許可を取得しなければなりません。
それでは、各許可について詳しく解説していきましょう。
不用品回収業において必須の資格ではありませんが「遺品整理士」という民間の認定資格についても後述します。
一般廃棄物収集運搬業許可
「一般廃棄物収集運搬業許可」は、家庭から排出される一般的な廃棄物(例えば家具、家電、衣類、書籍など)を収集・運搬する業務を行う際に必要な許可です。
この許可は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づいて交付され、適切な処分場や処理施設への搬入を行うためのものです。
許可を取得する際には、適切な車両や施設を持っていること、安全な運搬ができることなどの条件が求められます。
一般廃棄物収集運搬業許可を持っている業者が少ない理由
不用品回収業者が「一般廃棄物収集運搬業許可」を新規で取得できない背景には、新規の廃棄物収集運搬業者の募集を行っていない市町村が多いためです。
新規の一般廃棄物収集運搬業者の募集を行っていない理由として、いくつかの背景が考えられます。
- 既存の廃棄物収集運搬業者との長期契約を結んでいるため、その契約期間中は新規の業者を受け入れる余地がない
- 市町村は住民のゴミの定期的な収集・運搬を確実に行う必要があるので、たびたび新しい業者を入れることでそのスムーズな運営が乱れることを懸念している
- ゴミの収集・運搬の質を高く保つため、実績や経験が豊富な業者との連携を選ぶことが多い
- 新規の業者を受け入れることは、行政側の審査や手続きの負担が増えることを意味するため、行政の負担軽減のため新規の募集を控える
このような状況下で、多くの業者は不用品の回収業務を行うための手段として「古物商許可」を取得しているのです。
申請
申請は、各市町村の環境局などが担当していますが、この許可は「その市町村区域内での収集運搬業務」にのみ有効であり、他の地域で業務を展開する場合は、その都度、新たな許可を取得する必要があります。
業者が事業を拡大し、別の市町村で収集運搬業を行う場合や、車両や収集計画を変更する場合には、それぞれ新しい許可の取得や変更届の提出が必要となります。
また、この許可の有効期間は2年間で、更新を希望する場合は期限前に更新申請を行う必要があります。
一般廃棄物収集運搬業許可の申請に必要な書類
必要な書類 | ・一般廃棄物収集運搬業許可申請書 ・収集計画書 ・車両検査証明書 ・車両登録証明書 ・車両保険証明書 ・車両写真 ・収集運搬業者の写真 ・収集運搬業者の住民票 ・収集運搬業者の印鑑証明書 ・収集運搬業者の身分証明書 |
申請手数料 | 1万円 |
許可申請の具体的な方法は市町村ごとで異なることがあります。詳細は各市町村にお問い合わせください。
また、法令についての詳細は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)」を参照ください。
産業廃棄物収集運搬業許可
「産業廃棄物収集運搬業許可」は、事業活動の結果として発生する廃棄物(産業廃棄物)を収集・運搬する業務を行う際に必要とされる許可のことを指します。
具体的には、製造業や建設業などの事業所で発生する廃油、廃金属、廃プラスチック、建築廃材、工場から出る使用済みタイヤ、工場から出る木くずなどの産業廃棄物を、収集・運搬する業者がこの許可を取得する必要があります。
許可を取得するためには、適切な設備や施設を有していること、安全な収集・運搬ができることなどの条件を満たす必要があります。
条件付きで家電リサイクル法4品目の回収ができるようになる
「産業廃棄物収集運搬業許可」を取得している不用品回収業者は、ビジネスとして産業廃棄物の回収が可能になることに加えて、家電リサイクル法4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫及び冷凍庫、洗濯機および衣類乾燥機)の回収も可能になります。
家電リサイクル法4品目の回収が可能とされているのは、これらの家電製品が事業活動の一環として使用され、使用済みとなった際に産業廃棄物として扱われることがあるためです。
具体的には、オフィスや店舗、病院、学校、ホテルなどの事業所で使用されたこれらの家電製品は、一般家庭から出る廃棄物とは異なり、産業廃棄物として分類されます。
そのため、「産業廃棄物収集運搬業許可」を持つ業者は、これらの事業所からの家電リサイクル法4品目の回収を行うことができるのです。
ただし、この「産業廃棄物収集運搬業許可」では、家庭からの廃棄物の処分は認められていません。
家庭からの廃棄物を回収する場合は、「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要となるか、市町村からの委託を受ける必要があります。
申請
申請は、都道府県知事や政令市長に対して行います。
都道府県をまたぐ業務の場合も認められていますが、その際には廃棄物の回収地点と降ろし地点が位置する各都道府県の知事や政令市長にそれぞれ申請を行う必要があります。
このような複数の都道府県・政令市に跨る業務を行う場合、各地域の条例やガイドラインに従った手続きが求められることもあるため、事前に詳細な確認が必要です。
産業廃棄物収集運搬業許可の申請に必要な書類
必要な書類 | ・産業廃棄物収集運搬業許可申請書 ・事業計画書 ・車両検査証明書 ・車両登録証明書 ・車両保険証明書 ・車両写真 ・収集運搬業者の写真 ・収集運搬業者の住民票 ・収集運搬業者の印鑑証明書 ・収集運搬業者の身分証明書 |
申請手数料 | 8万1千円 |
許可申請の具体的な方法は団体・各都道府県ごとで異なることがあります。詳細は各都道府県にお問い合わせください。
また、法令についての詳細は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)」を参照ください。
古物商許可
「古物商許可」とは、古物(中古品)の買取や販売を行う業者が、都道府県の公安委員会から取得する許可のことを指します。リユースやリサイクルを目的とした不用品の買い取りや販売を行う業者も、この許可が必要です。
この許可は、古物取引法に基づいて定められており、ブランド品、貴金属、時計、切手、コインなどの古物の取引を行う際に必要とされます。
なお、その許可番号を店舗や車両などの公然たる場所に表示することが義務付けられています。
ホームページに古物商許可番号を載せていないのは違法?
不用品回収業者が回収したアイテムをサイト内で売買する場合は、その取引は古物の取引として扱われるため、ホームページ上に、古物商許可番号を表示することが義務付けられています。
しかしサイトで回収したアイテムの再販を行わない場合、ウェブサイト上での古物商許可番号の掲載義務はありません。
ですが信頼性や透明性を高めるために、多くの不用品回収業者はホームページ上にも古物商許可番号を掲載していることが多いです。
つまり、不用品回収業者のホームページに古物商許可番号が掲載されていなくても、“回収したアイテムをサイト内で売買していないのであれば”古物取引法違反には該当しないということです。
ただしそれはあくまでもホームページ上に表示するか否かの話であって、実際にお客様の家に出向いて不用品の回収・不用品の買い取りを行う場合は「古物商許可」が必要であり、公然たる場所に古物商許可番号の表示が必要です。
申請
申請は、営業所の所在地を管轄する警察署にて行います。
古物商許可の取得には、審査期間を経ることや講習会への参加などが求められます。講習会に関する詳細は、「警察署に問い合わせる」か、「ホームページを見る」ことで確認ができます。
多くの不用品回収業者は、この『古物商許可のみ』で不用品回収業を行っています。これは、「一般廃棄物収集運搬業許可」の新規取得が難しいことや、「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要な設備等の準備が容易でないためです。
ただし、古物商許可を持っているだけでは、不要品を「捨てる・破棄する・処分する」といった表現や説明を行うことはできません。
「古物商許可」で法的に許されるのは、古物商許可の範囲内で品物を回収し、中古品として販売する業務のみです。
不要品を「捨てる・破棄する・処分する」といった表現や説明を行いたい場合、業者は「一般廃棄物収集運搬業許可」や「産業廃棄物収集運搬業許可」を持っている必要があります。
古物商許可の申請に必要な書類
必要な書類 | ・古物商許可申請書 ・個人又は法人の登記簿謄本 ・印鑑証明書 ・身分証明書 ・許可証交付手数料納付証明書 |
申請手数料 | 1万円 |
許可申請の具体的な方法は営業所の所在地を管轄する警察署ごとで異なることがあります。詳細は各都道府県にお問い合わせください。
法令についての詳細は「古物営業法」を参照ください。
民間の認定資格「遺品整理士」
「遺品整理士」とは、遺品の整理や片付けに関する専門的な知識を持ち、その業務を適切に行うことができると認定された者を指します。
一部の不用品回収業者は、「遺品整理」をサービスの一環として提供していますが、遺品整理を行うために「遺品整理士」の資格が必須であるわけではありません。
遺品整理士の資格は、遺品整理業での開業や、遺品整理に関する専門的な知識を有していることを証明するものです。
資格取得
資格を取得するためには、「一般社団法人遺品整理士認定協会」が提供する講座を修了し、課題を提出して合格する必要があります。
受講料は25,000円、会費は7,000円となっており、教材は自宅に送られるため、各自で学習を進める形になります。
ただし、遺品整理士は民間の認定資格であり、不用品回収業としての許可や資格ではないため、不用品回収業務を行うことはできません。この点には注意が必要です。
許可が無い不用品回収業者に依頼した場合のリスク
不用品回収業者を利用する際、その業者が適切な許可を持っているか確認することは極めて重要です。
しかし残念ながら、許可を持たずに不用品回収業を営んでいる業者も存在し、これら無許可業者による不法投棄などのトラブルが多発しています。実際、環境省もこれらの問題を認識し、無許可業者を利用しないようにとの啓発活動を展開しています。
無許可で営業を行っている業者は「無許可営業」と呼ばれ、廃棄物処理法に違反しています。このような業者は、以下のような罰則を受ける可能性があります。
- 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、あるいはこれらの併科に処せられる
- 営業停止命令や廃棄物処理施設の閉鎖命令を受ける
- 公安委員会からの指導や監視も受ける
許可を持たない業者に不用品回収を依頼すると、以下のようなリスクがあります。
高額な請求 | 見積もりや契約書なしに作業を始めたり、追加料金やキャンセル料金を請求するなどです。また、買い取り価格よりも処分費用の方が高くなることもあります。 |
不法投棄 | 不用品を正しく処理せずに山や川などに捨てたり、他人の敷地や公共施設に置き去りにしたりなどです。この場合、依頼者も処分責任者として罰せられることがあります。 |
海外に不正輸出 | 不用品回収業者が違法に回収した物品が海外に流れることになると、環境や社会問題を引き起こす原因になります。この場合依頼者には、不法輸出の罪に問われる可能性があります。 |
個人情報の漏洩 | 不用品に含まれる個人情報(住所や氏名、電話番号など)を悪用したり、第三者に売却したりすることなどです。この場合、依頼者は警察へ被害届や相談が必要になることがあります。 |
さらに違法行為に加担した形となり、訴訟を起こされるか、罰金を科される可能性もあります。
したがって、不用品回収を依頼する際には、業者が適切な許可を持っているかを必ず確認し、安全かつ適法なサービスを利用しましょう。
不用品回収業者が持つ許可の確認方法
不用品回収業者との取引を開始する前に、業者が適切な許可を取得しているかの確認は欠かせません。
各不用品回収業者が正式に許可を取得しているかは、許可を発行する公的機関のホームページで確認することができます。
- 一般廃棄物収集運搬許可:不用品の回収を依頼する地域の市町村の公式ホームページ
- 産業廃棄物収集運搬業許可:都道府県のホームページ
- 古物商許可:警察署のホームページ
ただし、届け出から情報がホームページに掲載されるまでには時間がかかることがあるため、すべての許可番号がリアルタイムで確認できるわけではありません。
まとめ
不用品回収業者が家庭や事務所から不要となった家具や家電を適切に回収するためには、以下の3つの許可のいずれかが必要となります。
- 一般廃棄物収集運搬業許可
- 産業廃棄物収集運搬業許可
- 古物商許可
これらの許可は、不用品を適正に回収・処理するためのもので、取得するには一定の条件を満たし手続きを進める必要があります。それぞれの許可は特定の業務範囲に対応しており、他の許可と置き換えることはできません。
不用品回収業者が持つ許可の有無は、各発行機関の公式サイトで確認可能です。
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正当な許可を持つ業者のみが登録されており、実際の利用者の口コミを参照でき、費用も簡単に比較することができるため、安心して利用することができます。
適切な業者を選択することで、不用品の処分を効率的かつ安全に行うことができます。