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相続した家がゴミ屋敷のような状態で「どこから手をつけていいかわからない」と、お困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ゴミ屋敷のままで片付けず放置した場合、さまざまトラブルが発生します。ゴミ屋敷のまま放置したらどうなるのか、ゴミ屋敷に向いている売却方法や、売却する際の注意点などと合わせて解説します。
この記事でわかること
- ゴミ屋敷を放置した場合の懸念点
- ゴミ屋敷を売却する方法
- ゴミ屋敷を売却する際の注意点
ゴミ屋敷を片付けず放置した場合の懸念点
ゴミ屋敷の問題は見た目の不快感だけにとどまらず、多くの懸念点を孕んでいます。
ここでは、ゴミ屋敷をそのままにしておくことで生じうる、主な5つの懸念点について解説します。これらの問題は、所有者だけでなく、周囲の環境や地域社会にも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
ゴミを片付けなくても税金は発生する
ゴミ屋敷の所有者は、その物件を使用していなくても、所有しているだけで固定資産税の支払いが必要です。
たとえば、ゴミ屋敷の評価額が1,000万円である場合、標準的な税率1.4%を適用すると、年間14万円の固定資産税が発生します。
しかし、この1.4%という税率は国が定める基準であり、実際の税率は市町村によって異なるため、具体的な税額はお住まいの自治体で確認する必要があります。
また、ゴミ屋敷の状態が悪化すると、不動産の評価額自体が下がる可能性もあり、それに伴い固定資産税の額も変動することがあります。
したがって、ゴミ屋敷を放置することは、経済的な負担増加に直結することを理解することが重要です。
ゴミにより劣化が進み物件の資産価値が下がる
ゴミ屋敷を長期間放置すると、住宅設備や建物自体に様々な問題が生じることがあります。
例えば、放置されたエアコンは害虫の侵入やホコリ、ダニによる故障のリスクが高まります。また、室内がゴミで溢れている場合、カビの発生が進み、ゴミから漏れた液体により木材が劣化する可能性があります。
浴室やトイレ、キッチン、洗面台などの水回りは特にカビが繁殖しやすく、通常の清掃では十分に汚れを取り除くことが難しくなります。
これらの問題は、物件の資産価値を大きく下げる要因となります。ゴミを取り除いた後でも、カビが広範囲に広がっていたり、床が腐食していたりすると、物件の査定価格に大きな影響を与えることがあります。
そのため、ゴミ屋敷の状態が住宅の資産価値に与える影響は非常に深刻です。
近隣住民との関係悪化のリスクがある
ゴミ屋敷を放置しておくと、近隣住民からの苦情が発生する可能性が高まります。
特に、ゴミ屋敷の状態での放置が長期にわたると、悪臭が強くなり、建物の外へ臭いが漏れることで近隣に大きな迷惑をかけることになります。
また、ゴミに含まれる大量の可燃物は、火災のリスクを高め、不始末や放火によって延焼し、周辺の住宅にも被害を及ぼす危険があります。
マンションの場合、ゴミの重量や湿気が原因で床板が破損したり、水漏れが発生して下階の住民に迷惑をかけるケースもあります。このような事態が発生すると、下の階への補償や修理費用などの追加費用が発生する可能性があります。
これらの問題は、近隣住民との関係悪化だけでなく、経済的な損失をもたらすこともあるため、早急にゴミ屋敷の対処が必要です。
ゴミ屋敷のままで放置していると行政が介入する可能性がある
ゴミ屋敷が引き起こす不良な生活環境を改善し予防するために、多くの自治体ではゴミ屋敷に関する条例が設けられています。
この「ゴミ屋敷条例」は自治体によって条件が異なりますが、一般的に以下のような状況が該当する場合、条例の指導対象となります。
- 周辺環境に悪影響を及ぼしている
- 景観を著しく損なっている
- 害虫や害獣が発生している
- 悪臭が発生している
- 火災やゴミの崩落、不法投棄の恐れがある
近隣住民から、このような苦情が寄せられたら調査が実施されます。
調査の結果、行政からの指導にも関わらずゴミ屋敷の状態が改善されない場合、各自治体の条例に基づいて、行政代執行が行われることがあります。
行政代執行では、市や区などの行政が所有者に代わってゴミや不用品を強制撤去します。この撤去にかかる費用は、最終的に物件所有者に請求されるため、大きな経済的負担となり得ます。
このような事態を回避するためにも、早めに対処しましょう。
ゴミ屋敷の相続放棄しても保存義務が残る可能性がある
相続放棄を行った場合でも、ゴミ屋敷などの不動産に関しては「保存義務」が残る可能性があります。保存義務とは、相続財産を現状のまま保持する義務のことです。
相続人が物件を「現に占有」している、つまり実際にその物件を使用・管理している状態の場合、相続放棄後も責任が残ります。
例えば、ゴミ屋敷が火災等の原因となった場合、法的な責任を問われる可能性があるため注意が必要です。
相続放棄は財産だけでなく、それに伴う責任からも解放されることが一般的ですが、このような特殊なケースでは慎重な判断が求められます。
ゴミ屋敷を売却する方法5つ
ゴミ屋敷の場合、一般的な住宅の売却方法では売るのが難しい可能性が高いです。ゴミ屋敷の売却を検討されている方へ、売却方法を5つご紹介します。
ゴミを片付けないまま売却する
ゴミをそのままにして物件を売却する方法は、特に緊急性がある場合や費用を抑えたい場合に選択されることがあります。
この方法では、ゴミの処分や清掃の負担を買い手に移すため、通常の市場価格よりも低い価格での売却が予想されます。
また、ゴミ屋敷の状態を理解した上で購入を検討する買い手を見つけることは困難な場合が多いです。不動産会社や専門の仲介業者と十分な相談を行い、適切な売却戦略を立てることが重要です。
ゴミを片付けてから売却する
ゴミ屋敷を売却する際、ゴミを事前に片付けることは物件の価値を高める重要なステップです。
ゴミの撤去には専門業者の利用を検討することが望ましいです。自力での処分が難しい場合や、近隣住民とのトラブルを避けるためにも専門業者への依頼が効果的です。
ゴミが撤去され清潔な状態になることで、物件はより魅力的になり、買い手が見つかりやすくなります。これにより、売却価格の向上も期待できるため、売却の成功に向けてはゴミの撤去は欠かせない要素となります。
ゴミを片付けてリフォームしてから売却する
ゴミ屋敷を売却する際、ゴミを片付けた後にリフォームを行うことは、物件の価値を大幅に向上させる効果があります。
特にゴミによる悪臭や汚れが室内に残っている場合、リフォームは買い手を引き付けるために不可欠です。床や壁紙の張り替え、浴室やキッチンのリノベーションなどを行うことで、物件は大きく見違えるようになります。
しかし、リフォーム費用が売却価格に完全に反映されるとは限らないため、必要なリフォームの範囲や費用については、慎重に検討する必要があります。
適切なリフォームを行うことで、ゴミ屋敷の物件も市場価格での売却が期待できます。
ゴミ屋敷を解体して更地にして売却する
ゴミ屋敷を解体して更地にした後、その土地を売却する方法は、建物の価値が低い場合や再建築が望ましい場合に適しています。
解体には専門業者を利用しその後の更地は開発用地や新たな建設地としての価値があります。
ただし、解体費用や処分費用はかかりますので、売却価格とのバランスを検討する必要があります。更地の市場価値や、建物の状態、解体に関する費用を考慮して、最適な売却方法を選ぶことが重要です。
不動産会社に買取を依頼する
ゴミ屋敷の売却には、不動産会社への買取依頼が有効な方法です。
この方法のメリットは、迅速かつ周囲に知られずに売却できることです。特に、ゴミ屋敷状態の物件を買い取る会社もあるため、売主にとって手間が少なく済みます。
ただし、買取価格は市場価格より低くなることが多いです。また、ゴミ処分の費用が差し引かれる場合もあります。迅速な売却を優先する方には適した選択肢ですが、価格面での妥協が必要になる点を考慮しましょう。
ゴミ屋敷を売却する際の注意点
ゴミ屋敷を売却する際に、注意しておきたいポイントがいくつかありますのでご紹介します。
買取と仲介との違いを理解する
買取 | 仲介 | |
---|---|---|
仲介手数料 | 不要 | 必要 |
売却価格 | 相場の6~8割(ゴミ屋敷の場合は5~7割) | 相場価格に近い |
売却期間 | 最短1週間~1ヶ月程度 | 買主が見つかるまで |
買主 | 不動産会社 | ほとんどが個人 |
ゴミ屋敷の売却を考える際は、まず買取と仲介の違いを把握することが重要です。
仲介では不動産会社が買い手を探しますが、ゴミ屋敷の場合、買い手を見つけるのが難しいため、仲介での売却が困難になることがあります。
一方で買取は、不動産会社が直接物件を買い取るため、迅速な売却が可能ですが市場価格より低くなることが多いです。
売却方法はゴミの片付けや更地化など多岐にわたるため、状況に応じた最適な方法を不動産会社と相談することが大切です。
ゴミがある状態だと個人のお客様の内見は難しい
ゴミ屋敷の場合、ゴミや悪臭のために個人の購入希望者による内見が困難です。
購入者は通常、物件の現状を見て判断するため、ゴミ屋敷の状態では購入意欲が減退します。そのため、仲介による売却を検討する際は、物件の内外を清掃しゴミを処分することで内見時の印象を向上させることが重要です。
物件の魅力を高め、購入者にとってのメリットを提示することで、売却の可能性を高めることができます。
まとめ:ゴミ屋敷はそのままの状態での売却は難しい
ゴミ屋敷の状態での売却は、多くの課題を伴います。内見が難しい、市場価格が低下する、買い手が見つかりにくいなどの問題が生じるため、適切な売却方法の選択が重要です。
買取や仲介、リフォームや解体、更地化など、物件の状態や市場状況に合わせた戦略が求められます。最終的には、売却の目的や条件に応じて、専門家との相談を通じて最適な方法を選ぶことが成功への鍵です。
「なるべく、ゴミ屋敷を高く良い状態で売却したい!まずはゴミ屋敷の片付けからはじめよう」と思う場合は、ぜひ不用品回収モールの利用をご検討ください。
不用品の回収だけでなく、ゴミ屋敷の清掃やハウスクリーニングも提供しています。まずは見積もりを取り、どのようなサービスが利用可能か確認してみてください。専門的なサポートを利用することで、物件の価値を高め、売却の成功に繋げることができます。