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取得を検討している不動産が事故物件であると知れば、多くの方が購入をためらい、最終的に見送ってしまうのは容易に想像ができます。
そのために、事故物件を売却する側の立場から考えると、十分な対策を練って販売戦略を立てるのが重要です。
この記事では事故物件を売りたい方に向けて、売却の際に重要となる告知義務、また売却相場と売却のポイントを解説します。ぜひ参考にして、物件をスムーズに売却してください。
この記事でわかること
- 事故物件とは?
- 売買時の告知義務とは?
- 事故物件の売却相場
- 事故物件売却のポイント
- 事故物件の売却方法
事故物件とは?
どのような物件が事故物件になるのかは、とてもあいまいで明確な定義や法律がありません。しかし2021年に国土交通省が「事故物件に関するガイドライン」を発表しています。
事故物件とは、瑕疵(かし)のある物件の総称です。不動産業界では、土地や建物に何らかの欠陥がある状態を瑕疵といいます。
瑕疵は、心理的・物理的・法律的・環境的などの状況に応じて4つに分けられます。
ここでは、具体的に4つの瑕疵についてみていきましょう。
心理的瑕疵(しんりてきかし)
一般的には、事故物件といえば、心理的瑕疵がある物件と認識されています。
心理的瑕疵とは、物件に関連する目に見えない精神的な問題があるものです。物件内での殺人や自殺、特殊清掃が必要になる自然死などの出来事や、その出来事によって引き起こされる問題が含まれます。
心理的瑕疵のある物件は、告知義務をしっかりと果たして売却を進めなければなりません。
物理的瑕疵(ぶつりてきかし)
物理的瑕疵とは、対象不動産そのものに物理的な欠陥があるものです。物理的欠陥には、建物の雨漏り・シロアリ・耐震強度の不足、土地の土壌汚染や地中障害物などが含まれます。
新築当初は問題がなくても、売却時に発見されるものも少なくありません。
売却の際に物理的瑕疵をすべて解消する必要はありませんが、売主は正確な情報を買主に提供して、契約不適合責任を問われないように気をつけなければなりません。
法律的瑕疵(ほうりつてきかし)
法的瑕疵とは、不動産に関する法的な問題がクリアされていないものです。
本来、不動産は建築基準法や都市計画法などに定められた仕様によって、建設や維持管理がされていなければなりません。
建物を解体しても新たに建物が建てられない再建築不可物件や、建ぺい率や容積率が守られていない物件などが該当します。
不動産は法令のもとで厳格に建てられて維持管理されているものの、法律的瑕疵には十分に注意を払わなければなりません。
環境的瑕疵(かんきょうてきかし)
環境的瑕疵とは、物件自体の問題ではなく、対象不動産の周辺環境によって住みづらさを感じさせるものです。
住んでも問題ないという人がいれば、気になって住みにくいと感じる人がいるため、心理的瑕疵の一部としても考えられています。
例を挙げれば、騒音問題や土壌汚染が懸念される地域、墓地や火葬場などの施設が近くにある地域の不動産です。
産業構造やインフラ整備の都合もありますが、快適に過ごすのに支障があると考えられる環境に位置する物件は環境的瑕疵のある物件として取り扱われてしまいます。
事故物件売買時の告知義務とは?
事故物件を売却する際には、告知義務を果たさなければなりません。
本来、告知義務とは売主が把握している物件の瑕疵を買主に事前に告知する義務であり、事故物件に限ったものではありません。
国土交通省は、物件売却時における人の死に関する情報を告知するように、ガイドラインを発表しています。
宅地建物取引業者は、人の死に関する事案が、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げなければならない。
引用元:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
ただし、自然死や日常生活の中での不慮の死などは告知しなくても構いません。
告知義務に違反すると、売主は契約解除や損害賠償請求が発生する可能性があります。買主が事故物件に関する情報を正確に知らされずに取引をした場合、買主は契約を無効にする権利を行使できます。
事故物件の売却相場
不動産の売買価格は買主の需要と売主の供給とのバランスによって決まるため、事故物件が気にならない買主であれば、通常の物件相場での取引も可能です。
しかし、事故物件に嫌悪感を抱く人は多く、通常の物件相場以下での取引になる可能性も認識しておかなければなりません。
事故物件の相場は、一般的に通常の物件価格よりも2割から5割程度安くなるとされています。自然死であれば2割から3割程度、自殺の場合は3割から5割程度、殺人の場合は5割程度安くなるとされています。
不動産販売のプロである不動産会社と連携しつつ、相場に近づけられるよう売却策を模索するのが大切です。
事故物件売却のポイント
事故物件を売却する際にポイントとなるのが、物件の状態を少しでも改善させる方法です。事故物件の状態のままで引き渡しをしようとしても、買主の物件に対する不安は拭えません。
ここでは、心理的瑕疵と物理的瑕疵を拭い去るために有効な2つのポイントを詳しくみていきましょう。
リフォームやハウスクリーニングをする
リフォームや特殊清掃とも呼ばれるハウスクリーニングは、物件自体が持っている魅力を十分に引き出し、買主に好印象を与えます。
リフォームがされていなければ、事故の現場がそのまま残った形となり、心理的瑕疵を取り除けません。そして、ハウスクリーニングは事故の発生によって生じたであろう臭いや汚れを消し去ってくれます。
リフォームやハウスクリーニングは売却をスムーズに進めるための手段です。しかし、売却する前の段階で自己資金を負担して実施しなければなりません。
業者に発注する際には、前もって不用品を整理しておき、費用負担をできるだけ少なくするようにするのが大切です。
不用品回収モールに登録されている不用品回収業者の中には「リフォーム」や「ハウスクリーニング」もサービスとして提供している業者もいます。ぜひご検討くださいね!
解体して更地にする
買主の中には、事故が発生した物件そのものの存在を受け入れられない人が一定数います。
心理的・物理的瑕疵を取り除くために、物件そのものを跡形もなく解体してしまい、更地の状態にして売却するのも有効な手段です。
ただし、物件を解体するには不用品処分などの手間や時間、費用がかかってしまいます。売却の検討段階で、販売期間や費用負担についての計画を十分に立てておくのが重要です。
解体して更地にして売却する際に気をつけなければいけないのが、告知義務です。心理的瑕疵がある場合は、事故物件としての告知義務が残るため、忘れずに買主に伝えるよう細心の注意を払ってください。
事故物件の売却方法
事故物件の売却は、告知義務などの法令による制限がかけられているために、販売のプロである不動産会社に相談するのが一般的です。
販売の方法には、買主を紹介してもらう仲介と、不動産会社自らが買主となる買取の2つがあります。
ここでは、仲介と買取の特徴を詳しくみていきましょう。
じっくり売りたいならば仲介を検討する
仲介を検討すれば、仲介業者である不動産会社が売主と買主の間に立ってくれて売買取引を進めてくれます。売主は価格を中心にした条件を提示し、その条件に合う買主を紹介してもらえるのが仲介のメリットです。
仲介業者は、保有している多くの情報や広告・宣伝から買主を紹介しますが、事故物件の売却は一般の物件に比べても難しいです。
希望する価格での買主が見つからないまま時間が過ぎ、状況によっては価格の見直しを迫られるデメリットも仲介にはあります。
時間をかけてでも条件に合う価格での売却を望むならば、仲介を検討してみると良いでしょう。
少しでも早く売りたいならば買取を検討する
事故物件の売却は難しく、市場に出しても希望どおりの価格で買主が付く可能性は低いのが一般的です。
買取とは、不動産会社や投資会社などのプロが直接物件を購入する方法です。
仲介を依頼する際に必要となる仲介手数料や広告費用などを負担する必要もなく、スピーディーな売却が実現できます。
買取は、仲介で売却する場合に比べて、買取価格が市場価格よりも低くなる傾向があります。その理由として、買取業者は事故物件であるリスクを考慮して価格を算出するためです。
また、事故物件の不動産投資を検討している方はこちらの記事も役に立つかもしれません。
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事故物件でなるべく早くまとまったお金を得たいならば、買取や不動産投資を検討してみると良いでしょう。
まとめ:事故物件を売却する際は「告知義務」に注意!
事故物件を売却する際には、物件の瑕疵を認識し、告知義務をしっかりと果たさなければなりません。
リフォームやハウスクリーニング、場合によっては解体してからの販売など、買主の心理的負担を取り除くのも重要です。
仲介業者に依頼しても買主がみつからずに売却が困難ならば、プロの買取業者への依頼も検討する必要があります。仲介業者や買取業者との相談を重ね、納得してから物件を売却してください。
リフォームやハウスクリーニング、そして解体を検討する際には、前もって自宅に散乱している不用品を廃棄しておかなければなりません。
スムーズに売却の準備を進めたいならば、プロの不用品専門業者である不用品回収モールにお任せください。円滑な物件売却のお手伝いをいたします。