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「ペットボトルをリサイクルすると何になるの?」と気になっている方も多いでしょう。また、リサイクルする意味や、リサイクルの流れが気になる方も多いはずです。
この記事では、ペットボトルのリサイクルについてわかりやすく解説しています。
この記事でわかること
- ペットボトルのリサイクルでできるもの
- ペットボトルのリサイクルは無駄なの?
- ペットボトルをリサイクルする仕組み
- ペットボトルのリサイクル問題
- ペットボトルのリサイクル事例
自宅にあるペットボトルにどのような価値があるのか、ぜひチェックしてみてください。
ペットボトルをリサイクルすると何になる?
ペットボトルはリサイクルすることによって『日常的に利用する製品に変わる』とご存じでしょうか。
ペットボトルリサイクルで何になるのか具体的な製品の種類をまとめました。
プラスチック用品
特に一般的なのが、ペットボトルをプラスチック用品に作り変える方法です。例えば、次のような製品として再利用(リサイクル)されます。
- 新たなペットボトル容器
- 食品トレイ
- 製品パック
- プラスチックボックス
他にもプラスチック由来の製品が、ペットボトルのリサイクルによって生み出されています。日常的に購入している製品の中にも、ペットボトルをリサイクルして作り直された品が混じっているかもしれません。
洋服
ペットボトルは細かく分解されて、化学繊維を使用した洋服に変わるのが特徴です。例えば、次の洋服の中にはペットボトル由来の製品が混じっています。
- ワーキングウェア(作業服・白衣)
- インナーウェア
- 防寒着
ペットボトルの素材を使って作り直された洋服は、天然素材の洋服よりも耐久性、耐水性に優れているのが特徴です。また、化学繊維はシワになりにくいため、利便性にも優れています。
他にもネクタイやバッグなど、布製の製品にペットボトルが活用されていたり、雨合羽といった素材にも、ペットボトルと同じ材料が活用されています。
学生用品
ペットボトルをリサイクルすると、次のような学生用品に生まれ変わるのも特徴です。
- ペン(ボールペン・マーカーなど)
- 筆箱
- 下敷き
- 各種学生用品のフレーム
どれもプラスチックが利用されており、部分的な素材としてペットボトルの材料が使用されています。また、意外だと思われがちですが、ランドセルに使われている素材も、ペットボトルから生み出される場合があるとご存じでしょうか。
ペットボトルのリサイクルを含めて、リデュース・リユースといった考えにも興味をお持ちなら、ぜひ以下の記事もチェックしてみてください。3Rの具体例や取り組みを詳しく解説しています。
ペットボトルのリサイクルは無駄?
「ペットボトルって本当にリサイクルが必要なの?無駄では?」と疑問を感じている方も多いでしょう。
ここではペットボトルのリサイクルで生み出される環境利益や日本のリサイクル状況をわかりやすく解説します。なぜペットボトルのリサイクルが地球にとって必要なのか、ぜひ参考にしてみてください。
ペットボトルリサイクルによる環境利益
ペットボトルを含め“リサイクル”という行為には、地球温暖化対策やゴミの量を減少させること、資源の節約といった効果があります。
例えば、地球温暖化の原因であるCO2(二酸化炭素)は、プラスチック製品を生み出す工場が影響する場合もあるのです。また、ペットボトルをそのまま捨ててしまえばゴミの山ができたり、焼却処分をしたりと、さらなるCO2排出につながります。
つまり、ペットボトルのリサイクルをすれば、無駄にゴミを増やすことなく環境にやさしい取り組みを実施できるのが特徴です。さらにプラスチックの素材集めのために必要だった環境破壊を削減できます。
以上より、リサイクルは地球そして、そこで生活する人間を含めた生き物にとって快適な生活を維持するために必要な対策だと覚えておきましょう。
日本はリサイクルの先進国
日本はリサイクルの後進国だと言われることがよくありますが、実は世界の中でもリサイクルの先進国だとご存じでしょうか。以下に、環境省が公開している各国のリサイクル状況の表を掲載しました。
順位 | 一般廃棄物発生量 (kg/人) | リサイクル率 (%) | 熱却処理率 (%) | 最終処分率 (%) | 紙・板紙 リサイクル率 (%) | ガラス リサイクル率 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 日本 (400) | スイス (34) | 日本 (74) | 日本 (11) | ドイツ (72) | スイス (96) |
2 | ギリシャ (440) | スウェーデン (34) | デンマーク (54) | スイス (13) | スイス (70) | スウェーデン (92) |
3 | ベルギー (460) | ノルウェー (34) | スウェーデン (50) | デンマーク (17) | オランダ (69) | 日本 (90) |
4 | スウェーデン (480) | ドイツ (33) | スイス (50) | オランダ (30) | ノルウェー (68) | ドイツ (88) |
5 | フランス (540) | ベルギー (31) | ベルギー (34) | スウェーデン (35) | スウェーデン (67) | ベルギー (88) |
6 | イタリア (540) | オーストラリア (30) | フランス (34) | フランス (45) | 日本 (66) | ノルウェー (86) |
7 | イギリス (580) | カナダ (27) | オランダ (32) | ベルギー (48) | フランス (53) | オランダ (76) |
8 | ドイツ (600) | デンマーク (26) | ノルウェー (32) | アメリカ (57) | ベルギー (53) | デンマーク (71) |
9 | オランダ (620) | オランダ (25) | ドイツ (25) | スペイン (80) | デンマーク (53) | イタリア (59) |
10 | カナダ (640) | アメリカ (24) | アメリカ (14) | イギリス (83) | スペイン (51) | フランス (58) |
11 | スイス (650) | イギリス (17) | イタリア (12) | イタリア (93) | イギリス (50) | イギリス (42) |
12 | スペイン (650) | 日本 (17) | イギリス (8) | ギリシャ (93) | アメリカ (48) | オーストラリア (40) |
13 | オーストラリア (650) | フランス (16) | スペイン (7) | オーストラリア (48) | スペイン (38) | |
14 | デンマーク (740) | スペイン (9) | カナダ (43) | ギリシャ (30) | ||
15 | アメリカ (750) | ギリシャ (8) | イタリア (47) | アメリカ (21) | ||
16 | ノルウェー (760) | ギリシャ (33) | カナダ (17) |
まず、日本は先進国の中でもゴミの排出量が最も少ないのが特徴です。順位1~16位のうち、1位を獲得しており、最下位の国と比べて約2倍の差があります。
確かに、日本は他の先進国に比べるとリサイクル率は下位に位置します。ですが最終処分率がだんとつで高く、ゴミ埋め立てや放置が少ない部分を評価できるのが他国との違いです。
さらに日常的に大量生産が必要な紙・ガラスといったリサイクルにおいて上位を獲得しています。近年の日本は、SDGsの考えに基づき、リサイクルを重要視する企業が増えているため、今後さらなるリサイクルの上昇が期待されている状況です。
ちなみに日本は、焼却処理においてCO2排出削減の技術をもっています。例えば、CO2に吸着しCO2排出を削減できる素材などが開発利用されているため、他国より焼却面でも環境にやさしい取り組みを実現できているのです。
日本のペットボトルリサイクル率はまだまだ低い
日本はリサイクルの先進国ではありますが、まだまだリサイクル率が低いことも事実です。
そもそも日本は他国と比べて、焼却処理の改善によるCO2排出削減に重きを置いているため、リサイクル品目が多くありません。
ただし、内閣府が実施した世論調査によると日本国民の半数以上が環境問題やリサイクルに関心を寄せています。
画像引用元:内閣府「世論調査」
世論の認識がリサイクルに傾けば、今後ペットボトルのリサイクル率が上昇すると予想できます。国民のリサイクルに関する認識・理解が日本のリサイクル動向を変えるため、この機会にぜひペットボトルリサイクルに注目してください。
日本のリサイクル技術
リサイクルの割合が低い日本ですが、日本は進んだリサイクル技術を持ち、多くの企業がリサイクルに取り組んでいます。参考として環境省が公開している「日本の廃棄物処理・リサイクル技術」に掲載されているリサイクル技術をまとめました。
- 廃家電のリサイクルによる有用材料の回収(レアメタルなど)
- 廃棄物系バイオマス燃料を使ったリサイクル発電
例えば、日本では独自の技術を活用して、他国で埋め立てられている廃家電の解体やリサイクルを実施しています。廃家電に含まれる貴重な材料「レアメタル」の回収・リサイクルをし、製造の無駄を削減している状況です。
また、廃棄物をただゴミとして処分するのではなく、バイオマス燃料として再利用しているのが特徴です。火力発電の割合を占める日本において、ゴミを燃料としてリサイクルし、CO2排出を削減しています。
ちなみに家電リサイクルについては、国内で家電リサイクル法と呼ばれる法律が定められています。詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
ペットボトルをリサイクルする仕組み・方法
ペットボトルがどのようにリサイクルされるのか、イメージできない方もいるでしょう。
ここではペットボトルがリサイクルされて、製品として売り出されるまでの仕組み・方法をわかりやすく解説します。
1.ペットボトルの分別
まずは消費者が、使い終わったペットボトルを分別してゴミ出しすることからスタートします。
ペットボトルのラベルに「PETボトルの識別表示マーク」が掲載されているので、対象となるペットボトルを分別しましょう。
ペットボトルのリサイクルマークに注意
ペットボトルをリサイクルする際には、掲載してあるマークの違いに注意してください。よくペットボトルに掲載されているマークは以下になります。
画像引用元:PETボトルリサイクル推進協議会「識別表示マーク」
例えば、ペットボトル本体は左側の識別マーク、キャップは右側の識別マークとして分類されます。識別マークによって処分方法・リサイクル方法が違うため、ペットボトル・キャップは分けてください。
2.ペットボトルの収集・選別
ペットボトルといったリサイクル品を、自治体や店舗に設置されたリサイクルボックスに出すと、自治体が回収し専用工場で選別を実施します。
ペットボトルの選別では、以下のポイントを機械と人力を組み合わせてチェックするのが特徴です。
- リサイクルできるペットボトル製品か
- ラベルが付いたままではないか
- キャップがついていないか
- 汚れていないか
選別が終わったペットボトルは、圧縮梱包という技術で小さくし、ベールという状態に整えられます。
3.ペットボトルの再商品化
小さく圧縮されたペットボトルのかたまりは、専門事業者へと引き渡されてフレークやペレットといった粉々の状態に粉砕・洗浄されます。
フレーク・ペレットとは?
フレークは約8mm角まで粉砕したプラスチック素材、ペレットはさらに小さく加熱融解したプラスチック素材のことです。
以下に、フレーク・ペレットから生み出される製品の種類をまとめました。
フレークから生み出された製品 | ペレットから生み出された製品 | |
---|---|---|
製品の種類 | ・ペットボトル・シート、パック ・製品フィルム、ラベル ・化学繊維の洋服等・ボックス、学生用品 | ・シート、パック ・製品フィルム、ラベル ・化学繊維の洋服等 ・ボックス、学生用品 |
ここまでの工程が完了すると、再商品として店舗で販売されるのがリサイクルの流れです。また、再商品化された製品も新たにリサイクルでき、本項の「1.ペットボトルの分別」へと戻ります。
ペットボトルをリサイクルする問題点
ペットボトルのリサイクルは環境にとって有益な取り組みですが、問題点があるのも事実です。
以下でペットボトルのリサイクルに関わる費用や手間、品質の問題をまとめました。
ペットボトルの回収費用がかかる
ペットボトルのリサイクルには、回収・分別の費用がかかります。
ちなみに、ペットボトルの回収や分別など、専門業者に引き渡す前までの作業は、自治体によって実施されているのが特徴です。自治体の活動費用は税金によってまかなわれているため、リサイクルという行為自体に私たちのお金が関わってきます。
また、ペットボトルを含めたリサイクル費用は、最初から材料を購入して生産するよりも人件費がかかるのも事実です。リサイクルは環境にやさしい取り組みですが、その分だけ費用がかかると覚えておきましょう。
ペットボトルの他に異物が混ざる
ペットボトルのリサイクルを実施する際には、色の異なるペットボトルを一緒くたに混ぜるほか、素材の洗浄に限界があるため、再商品化した製品に異物や変色の問題が起きやすいと言われています。
リサイクルの中には、他の商品と色が違っている、色の異なる繊維が混じっている場合があるのも事実です。製品自体の品質には問題ありませんが、見た目として良い印象を与えにくくなるのがネックになります。
ペットボトルのラベルを剥がすことが面倒
ペットボトルのリサイクルを実施する際に、すべてのペットボトルがキレイに分別されているとは限りません。中には、キャップが外されていない、ラベルが剝がされていないといったペットボトルが混じっているのも手間を増やす原因です。
自治体が実施するペットボトルの選別の手間が増えるほか、手間がかかったことに対する費用の増加も予想されます。
ペットボトルにおけるリサイクル・再利用の国内事例
ペットボトルは、すでに国内のあらゆる企業がリサイクルに取り組んでいます。
リサイクルの状況を知る参考として、大手企業が実施するリサイクル・再利用の事例を3つまとめました。
セブンイレブンによるペットボトルの循環型リサイクル
コンビニエンスストアを運営するセブンイレブンは、全国の一部店舗にペットボトル回収機を設置し、リサイクルに貢献しています。
手軽にペットボトルをリサイクルできるスポットとして利用できるほか、消費者によるリサイクルの取り組みをセブンイレブンのポイント「nanaco」として反映してもらえるのが魅力です。
イトーヨーカドーによる新しいペットボトルリサイクル
大手スーパーのイトーヨーカドーは、セブンイレブンと連携して店舗敷地内にペットボトルや食品トレーなどの回収ボックスを設置しました。人が集まるスーパーということもあり、地域住民がリサイクルしやすい生活環境を整備しています。
また、リサイクルとして出した品数に応じて「nanaco」ポイントが貯まるのも魅力的な点です。獲得したポイントは、そのまま買い物に利用できます。
サントリーによるペットボトルリサイクルの啓発活動
飲料の製造販売等を実施するサントリーは、使用済みペットボトルを新たなペットボトルとしてリサイクルする「ボトルtoボトル」という活動に取り組んでいます。
ペットボトルから新たなペットボトルを生み出す循環型のシステムを実現するため、国内外の飲料メーカーにリサイクルの啓発活動を実施しています。
大量のペットボトルの処分は不用品回収業者がおすすめ
自宅に大量のペットボトルが溜まっているという方もいらっしゃるでしょう。また、ペットボトル以外にも大量のゴミがあり、リサイクルどころではないとお悩みの方もいるはずです。
それなら、ゴミの回収・分別はもちろんリサイクル活動に取り組んでいる不用品回収業者といったプロに相談してみるのはいかがでしょうか。
不用品回収業者に依頼すれば、自宅内に溜まったゴミの回収のみならずリサイクル作業にも対応してもらえます。ゴミ屋敷問題や急な引越しにも柔軟対応してもらえるため、お家の悩みごとをすぐに解決できるのが魅力です。
もし不用品回収業者をお探しなら厳正なる審査のうえ優良業者だけを紹介している「不用品回収モール」をご利用ください。ぼったくり業者を回避したい方、高品質なサービスをお求めの方におすすめです。
また、ペットボトルの不用品回収や処分方法、捨て方を詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
ペットボトルのリサイクルについてよくある質問
最後に、ペットボトルのリサイクルについてよくある質問をまとめました。
気になる項目、わからない項目をチェックしてみてください。
ペットボトルキャップはリサイクルすると何になる?
ペットボトルキャップは、専門業者の粉砕機等を用いて、プラスチック材料の再生原料として流通します。例えば、制服、シャツといった衣類、洗剤用ボトル、化粧品容器といったプラスチック容器として再利用されるのが特徴です。
汚れたペットボトルもリサイクルしてもらえる?
ペットボトルの汚れがひどいと、リサイクル法の基準を満足できず専門業者への引き渡しができません。汚れを取り除けるペットボトルのみ受け付けられているため、汚れのあるものは自治体指定のゴミ収集スポットにゴミ出ししてください。
ペットボトルを潰してリサイクルする方が良いのはなぜですか?
ペットボトルを潰しておけば、自治体が一度に回収できるリサイクル品の量を増やせます。リサイクル品回収の手間を減らせることはもちろん、リサイクルにかかる費用を削減できるのが特徴です。
リサイクルされたペットボトルから作られた製品は安全ですか?
リサイクルされたペットボトルは殺菌・消毒されているので安全です。また再生商品の製造においても、リサイクル時の加熱でも有害物質が発生しないため、通常のペットボトルと同品質で利用できます。
透明なペットボトルと色つきペットボトルのリサイクルに違いはありますか?
日本では、透明・色つきのペットボトルを混ぜてリサイクルすることが禁止されています。また、色つきのペットボトルは日本でリサイクルできないので生活ゴミとしてゴミ出ししてください。
まとめ
ペットボトルのリサイクルは、環境にやさしく環境問題の解決に大切な取り組みです。また、リサイクルによって製品を生み出せば、地球の大切な資源を無駄に消費する心配がなくなります。
世界規模でリサイクルが実施されているため、自宅に要らないペットボトルが溜まっているのなら、ぜひラベルやキャップを外して自治体のリサイクルボックスに出してみてください。